白内障手術
1. LenSxについて
世界最先端の白内障手術
LenSxは、世界の67か国で800台以上導入され、約3500名の専門家の眼科医により40万症例を超える実績のある(2015年1月現在)、次世代のメス最先端技術の「フェムトセカンドレーザーによる白内障手術」です。日本国内ではアイケアクリニック銀座院は厚生労働省が安全確認後、国内導入の第1番目施設です。前眼部光干渉断層法(前眼部OCT)の測定結果に基づく精密な切開技術も導入されたため、全自動でメスを使わない、すなわち人の手では不可能であった非常に正確で再現性が高い安全な世界最先端の白内障手術が可能になりました。
1. 角膜切開(創口作製)
フェムトセカンドレーザーと前眼部OCTなどの技術により、人の手では不可能であった正確な形状・位置・深さで安全に切開する事が可能です。さらに創口の形状も選択可能であり、自己閉鎖能にも優れています。
2. 前嚢切開の作製
前嚢の深さに対して前後100μmの切除を行い、円形に前嚢を切開するものであり、基本的に術者の熟練や技量に依らないため再現性が非常に高く、強度にも優れています。目標とする直径で前嚢切開が可能なため、眼内レンズの固定位置は良好であるため、眼内レンズのズレが生じにくいため、多焦点眼内レンズ(下記参照)との相性が良く、偽落屑症候群などで水晶体を支える毛様体小帯が脆弱しておられる方にも有用であることが期待されています。
3. 水晶体分割
水晶体に切開を加えることにより、その後の核破砕や吸引を容易にするもので、より低侵襲かつ効率的な白内障手術が可能となります。角膜内皮細胞が弱い方にも有用であることが期待されています。
4. 角膜乱視矯正
乱視矯正に用いる弧状切開にも対応する。マニュアルで行う輪部減張切開に比較して切開の深さや長さが一定であり、より高精度に乱視矯正が可能です。
2.多焦点眼内レンズをご検討のみなさまへ──。





当院は、白内障手術(多焦点眼内レンズ使用)の選定療養施設です。
『多焦点眼内レンズとは』
遠近両用眼鏡と同じような働きを持つ眼内レンズです。費用は下記の通りとなります。詳しくはスタッフまでお問合せください。
多焦点眼内レンズ手術について、費用は下記の通りとなります。詳しくはスタッフまでお問合せください。
3. 白内障手術の概要
濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し(超音波水晶体乳化吸引術)、人工水晶体(眼内レンズ)と交換します。
手術方法の進歩によって、以前に比べるとより安全に、より正確にできるようになりました。そのため入院しない日帰り手術が可能となっています。
麻酔は点眼麻酔のみで、痛みはほとんどなく、手術中は医師の声が聞こえ、会話もできます。

4. 白内障手術の時期について
白内障手術の時期やタイミングは人それぞれです。新聞が読みづらい、急激な視力低下で何度もメガネを作り変えている時、また異常にまぶしさを感じる時など、日常生活に不自由を感じた時が手術時期といわれています。
手術の時期が遅くなると次の点で不利です。
- 検査をしても白内障以外の目の病気が発見できないことがあります。
- 手術が難しくなり、合併症の頻度増加する可能性があります。
- 将来、体調の変化により手術が不可能になることがあります。
- 通常と異なる手術の方法をとらなければならない場合があります。
5. 白内障手術の流れ
はじめに、術眼を消毒した後に清潔な布を顔にかけ、器具を使って瞼を開き点眼や注射による麻酔をします。麻酔の注射は痛みが少なく、個人差はありますが手術中の痛みはほとんどありません。痛みがある場合、もしくは痛みが続く場合には追加の麻酔をします。また、手術中は様子を伺いながら手術を進めますので、どうぞご安心ください。
術中は、顕微鏡下での手術になるため眩しい光が終始当たります、まぶしさには徐々になれてきます。緊張感から動いてしまったり、眼をキョロキョロと動かしてしまったり、血圧が上がったりする方もいらっしゃいますが、局所麻酔なので意識もはっきりしており、何かあれば手術中に話しかけていただくこともできます。手術をスムーズに進行させるためには、術中のコミュニケーショシも大変重要となります。不安もあるかと思いますが、医師や看護師の指示に従っていただければ、あまり心配する必要はありません。
手術時間は、特に問題がなければ5分程度で終了します。
手術終了後はリカバリー室で10分くらいお休みいただいた後、ご自宅に帰宅していただけます。
6. 手術後の視力・見え方について
眼内レンズ(人工水晶体)は、若い人の水晶体のように厚くなったり薄くなったりしてピン卜を調節する力がありません。老眼が進んだ目と同じで、見るものの距離にあわせて眼鏡を上手に使った方がさらに良好な視力を得ることができます。
挿入する「眼内レンズの度数」により、手術後の見え方が変わります。
ピントを遠くに合わせた眼内レンズを入れた場合は手元を見るときに、老眼鏡カが必要です。

ピントを近くに合わせた眼内レンズを入れた場合は遠くを見るとき(車の運転など)に、眼鏡が必要です。

通常はピントを遠方に合わせた眼内レンズを挿入する場合が多いですが、左右のバランス、手術前の度数、ご本人の御希望、職業上の理由などにより近くにピントを合わせる場合もあります。乱視のある方の場合には遠用と近用のそれぞれの眼鏡を持っていただいた方が良いでしょう。
手術前の検査の際に、挿入する眼内レンズの度数を決定します。
挿入する眼内レンズの度数をどのようにあわせるかについては、手術前に医師とよくご相談ください。
手術を受けた後、手術前に使用していた眼鏡は度数が合わなくなりますので、目の度数が安定してから眼鏡合わせを行います。(手術後約2~4週間が目安)
また手術後には、青っぽく見えたり、赤っぽく見えたり、まぶしさを感じる場合があります。これは透明な眼内レンズが挿入されたことによるもので、時間とともに慣れ、違和感を感じなくなります。
最終の矯正視力は人によって異なります。白内障以外の目の病気がある場合、十分な視力を得ることができないこともあります。視力の改善にかかる日数とその程度は人によって異なります。
術後、最も気をつけていただきたいことは、外傷と感染です。手術翌日から指定された来院日に必ず受診し、診察を受けて下さい。また、処方されたお薬は指示通り内服または点眼しましょう。
7. 手術中および手術後に起こり得ること
白内障手術は医学の進歩により眼科手術の中では比較的安全と言われていますが、白内障手術に限らず100%安全を保証されている手術は残念ながらありません。合併症の多くは適切な処置によって問題なく済みますが、予期せぬ出来事が起こらないとも限りません。手術に伴う危険性をしっかりと把握し、合併症が起きた時にはご本人やご家族に状態を説明した上で適切な治療を早急に行います。手術中に処置を追加することや、術後に処置や薬を追加したり、更に再手術を行ったりすることがあります。
8. 合併症について
以下の合併症については、治療方法がありますのでご安心ください。
後嚢破損
手術中に水晶体嚢の後面(後嚢)が破れてしまうこと。後嚢が破れると眼内レンズの支えに不安が生じるため、レンズの固定位置に工夫が必要になります。前房に脱出した硝子体に対してはこれを取り除く処置(前部硝子体切除)を行います。
チン小帯断裂
チン小帯とは、水晶体の全周をまわりから支えている無数の細かい繊維です。手術中にこれがある程度の範囲にわたって断裂すると、その範囲の水晶体嚢が支えを失い、眼内レンズを水晶体嚢で支えることができなくなるので、眼内レンズを眼球壁に縫い付ける処置(眼内レンズ縫着や強膜固定)を行います。白内障手術では眼内レンズがー度に入らないケースがあり、2回に分けて手術をする場合があります。
水晶体の硝子体内落下
術中に後嚢破損やチン小帯断裂が生じ、水晶体が硝子体に落下してしまうという合併症です。水晶体物質のごく一部が落下しただけであれば自然吸収するので問題はありませんが、高度の場合には取り除く手術が必要になります。
駆逐性出血
術中に突然眼球の奥から大出血を起こし、高度の視力障害をきたすことがあるかなりまれな合併症です。最近の術式では切開創が小さく内圧によって自然に閉鎖するため生じにくくなっていますが、少しでも確率を下げるための工夫を行っています。
感染性眼内炎
手術の際や術後間もない時期に目の中に細菌などが侵入し、増殖して強い炎症を生じます。術後早期に起こるタイプは失明に至る場合もありますので最大限の注意を払っています。
眼圧上昇
術後の炎症で目の中の排水口が目詰まりし、一過性に眼圧(目の硬さ)が高くなることがありますが消炎とともに改善します。目薬で治療を行います。
後発白内障
術後数ヶ月から数年経過した後で濁ってくることがあります。これは内に残った水晶体の細胞が術後増殖し、透明な嚢が濁ってくる病気です。外来でのレーザー治療により痛みなく濁りを飛ばすことが可能ですのでご安心ください。
黄斑浮腫
術後1〜2週間してから網膜の中心部(黄斑部)がむくんで視力が下がることがあります。近年は抗炎症薬を術後から点眼することで発症率を大幅に低減することが可能となりました。
眼内レンズの度数ずれ
眼内レンズの度数はもともと計算式で算出していますので、ある程度の誤差はつきものです。しかし、狙った度数からあまりにも外れてしまった場合には眼内レンズを交換する再手術が必要になることもあります。
目が赤い、目がゴロゴロする
手術後白目に赤く出血が残ることがあります。自然経過で約2週間弱で吸収しますので心配はいりません。手術の傷口は大変小さなものですが、細かな凹凸のため多少異物感を生じます。
9. 最後に…
白内障とその手術に関して説明しましたが、以上はあくまでも一般的な内容であり、患者様それぞれの状態は少しずつ異なります。そのため患者様それぞれに異なる特別な点については、主治医より追加の説明を受けてください。
また、不明な点がございましたら医師またはスタッフに遠慮なくご相談ください。
近年、白内障手術に関しては様々な表現があり、よく使用される表現として、多焦点レンズ、多焦点眼内レンズ、マルチレンズ、マルチ眼内レンズ、先進医療 白内障、多焦点IOL、マルチIOL、2焦点、眼鏡のいらない白内障手術などがあります。